とってもベタだけど、夏の映画というと「耳をすませば」

私にとっての夏の作品といえば、ベタベタな定番だけど「耳をすませば」である。

 

夏って大抵金曜ロードショージブリ特集するからか、予想はしてたけど結構このお題ってジブリ作品が上がりますね。

少々ひねくれた性格の持ち主である私は、もう少し捻りのきいた作品を記憶の中でザッピングしてみたけれど、ベタで定番、というのも安心感があっていい。

と、思うことにして、ベタベタだけど「耳をすませば」についての思い出話。

 

 

いちばんはじめに「耳をすませば」を見たのは、1995年の夏休み。

今はもう亡くなったおじいちゃんと現在も90代の大台にのりながらも少しのボケただけでほぼピンピンしているおばあちゃんと弟と行った映画館で、この映画を見た。

母はこの頃仕事で忙しくしていて、仕事関係の資格試験に向けて自宅で勉強していたような気がする。

一緒に住んでいた祖父母的には、同居を開始してはじめての夏休みを迎え、日中家で走り回るクソガキ可愛い孫である姉弟にいい加減うんざりしたのかもしれない。*1

小学校低学年でやんちゃざかりの弟と高学年になった姉のセットで外に連れて行けば、まあ外出してもどうにかなると思ったのだろう。*2 

ともかく、4人でお昼も過ぎた頃に横浜の街へ出かけた。

 

 

特に見たい映画があったわけではない。

有り余る子供のエネルギーを発散させる目的の外出だったと思う。

まあ、祖父母としてはおじいちゃん・おばあちゃんっぽいこともたまにはやりたい、というのもあったのだろう。

同じ時間帯で上映していたのは「アンネの日記」と「耳をすませば」の2本だった。

おばあちゃんが「アンネの日記」は生々しい戦争の記憶を思い出したくないから嫌だと言ったので、特に異論もなく「耳をすませば」になったのだった。

 

 

その時は特に感想を抱かなかったと思う。

主人公である中学生の本好きの女の子はその当時読書は好きだったので割と自分と似てるなぁ、と思ったくらい。

中学生って勉強大変そうだな、とか。

天沢聖司かっこいい!!将来はああいう賢い人と付き合いたい!とか。*3

見るのがちょっと早すぎたのだろう。

さらっと見て、まあ面白かったような、そうでもないような....?世界観は好きだな〜。という当たり障りのないことを感じて、その後すぐ忘れた。

 

 

その後、思春期を迎えてから見た時には、リアリティがある描写に重ねられるファンタジーな設定が好きすぎて、録画したビデオテープが擦り切れるくらい見た。

いつかこういう人と会えたらいいな、とは思わなかったが*4、こういう恋愛に対して憧れはあった。

まあ、主人公の雫と同じ年頃になる頃は、女子校生活をエンジョイしすぎていて、そもそも恋愛は興味のあるものの中では最後列だったし、高校受験をしなかったので、進路で云々悩むというのに共感できなかったというのもある。

たぶん私の中では、人物とか背景とかの描写がきれいなファンタジーの物語として処理されたのだろう。

 

 

今でも「耳をすませば」がジブリの中でぶっちぎりトップで好きだ。*5

たぶんその理由は、「美味しいお茶を飲んでるシーン」が何度もあり、しかもそれをものすごく丁寧に描いているからだったり、雫の住んでいる団地の描写がノスタルジーを呼び起こすからだと思う。

あの、ゆうこちゃんと雫のお茶のシーンとか、おじいさんと雫のお茶のシーンとかを、何気ないことのように日常に溶け込ませている描写が好きなのだ。

 

はじめてその映画を見た頃、私の家にはお茶を飲みながら団欒するという文化はなかった。

そういう紅茶やコーヒーで気軽に楽しむ文化がある、ということは小説とかで知っていたが、それを実践するには両親ともに忙し過ぎて一息ついてる暇なんかなかったし、祖父母には紅茶を淹れて飲むという行動様式はなかったので*6、なんとなくそういう空気に憧れがあった。

 

なんというか、描かれているさりげなく上品なライフスタイルが、当時やってみたかった生活様式の集積だったから、未だにすごく好きなのかな、と思う。 

久しぶりに「耳すま」観ようかな〜。

 

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りぼんの原作もいいよね! 

 

 

*1:とはいえ、2週間くらいは父の実家である田舎へ行っているのでそんなに長い期間でもないと思うけど、同居をはじめてからパーソナルスペースが著しく害されたのは事実だろう。

*2:同居していた祖父母はやんちゃな男の子の面倒をみるのは無理だと悟っていたのか、弟だけを連れて出かけたことはない。弟の方が可愛がられていたが。

*3:その後、私の好みは一貫して自分より賢い人というのがお付き合いの条件の1つだったので、あの時期に受けた影響ってすごいな、と思う。今の相方も、確かに私より賢いと思う。

*4:そう思うには俗物的な現実の夏休みの旅行とか、女の子同士で行く渋谷とか上野とかの街遊びとか、ディズニーランドとか、運動部の部活動とか勉強とかで忙し過ぎたと思う。 

*5:ちなみに2番目に好きなのは「コクリコ坂から」、僅差で「魔女の宅急便」。最近だったら「風立ちぬ」はけっこう好き。

*6:その代わり、緑茶やほうじ茶を淹れて朝に飲んでましたが。