#まちがたり 「#銭湯図解」ができるまで Feb 25 ‘19

きっかけ

塩谷さん(@enyahonami )に興味を持ったきっかけは、どっちが先だっただろうか?

たぶんたまたま流れてきたtwitterのモーメントで銭湯図解を見たのが先で、そのすぐ後くらいに時々行くようになった萩の湯の炭酸泉でイラストを見かけるようになったからだと思う。

 

はじめは、”なんか変わったことやってるな〜。イラストわかりやすくていいなぁ。次はあそこの銭湯行ってみようかな”っていう感想だった。

それから、何度か萩の湯で銭湯図解をながめているうちに、どんな人なんだろうなぁ...思いをはせるようになって、ネットでちょいと調べてみると、

”(それまで順風満帆の人生だった人が)新進気鋭で有名設計事務所に就職して、心身を壊すまで働いて、休職、そして転職。そのときに銭湯に救われたので銭湯に恩返しがしたい。”

みたいなことが書いてあったので、関心を引かれたのだと思う。

私自身はすごいって経歴の持ち主ではないけど、似たようなこと(寝食のあやしいガムシャラな行為→うつ→休職→復職→退職→…?)を経験してきているので、”あー、私と似たような感じの人いるんだ”、っていう共感と、”若くていいなぁ。これからどんなことしていくんだろうな?”っていう興味をかきたてられる感じ。

 

それでも今までだったらイベントに行ってみたいとか、何かに参加したい、とまでは思わなかったと思う。

たまたま最近元気で、なんかそろそろ他人とダーリンと関わりのないコミュニティでのコミュニケーションとりたいわ〜って思ってたのと、イベント会場がそんなに遠くなかったので、行くまでにそんなに労力を使わなくてよかったのが重なって、めずらしく近くでやるなら行ってみよって感じで #まちがたり の「『銭湯図解』ができるまで」に申し込みをしていた。

 

 

 

#まちがたり 「銭湯図解」ができるまで

序盤

2/25の月曜日。

仕事終わりに、1度家に帰ってきてコーヒーを飲んでひと息着いてから出かけた。

目的の場所は千駄木の「往来堂書店(@ohraido )」。*1

閉店後のお店に入ると、すでにイベントに来たお客さんでいっぱい(おじさまが7割くらいかな?)。

棚のあいだに配置されたパイプ椅子に座る人の光景はちょっと不思議な感じがする。

わたしは座った席の棚がおもしろくてまじまじと眺めてました。ここ5年くらいは本を読む余裕もなかったけど、“文脈棚”はすごい興味深かったです。

会場の後ろの方ではたぶん塩谷さんが主催している #銭湯再興PJ のスタッフと思われる若い子たちがちらほら。

 

19:30、時間になってトークがはじまる。

今回のイベントの主催者は 片手袋研究家の石井さん(@rakuda2010 )。

2/24(日)から1週間、毎日1つ、街のどこかで開催されるトークイベントの2日目。

塩谷さんとはマニアフェスタでお知り合いになったのだそうです。

正直なところ、片手袋研究家?なんじゃそら?と思ってきいていて、トークもめっちゃぬるっとしとるなぁ、と思って聴いていたのだけど、会場もコンパクトだし、ライブじゃないから一体感とかいらないし、肩肘はらなくてよいからまあ気楽。

そういえば文化系のトークイベントははじめて参加したような気がする。

 

はじめにしばらく石井さんと塩谷さんの知り合った経緯の話があったのだけど、“幼少期の感動を捨てられないのがマニアで、マニアってその感動を捨てられないまま大人になってるから呪われてる”みたいな話をきいて、私自身は今までマニアとかオタク寄りの種類の人間だと思ってたのだけど、そうでもないなと気が付いたのは収穫だった。

そんなになにか1つに一心不乱になることって今までを思い返してもあまりない。

没頭しそうな気配があるときは、意図的に他の行動も同じくくらいの活動時間になるようにする癖があるので、没頭したとしても2,3年くらいジュッとヒートしたらそのあとは下火になって静かに燃やす感じになる気がする。

無意識にバランスを取るんだよな。

 

 

経歴

続いての話題は、塩谷さんの経歴について。

幼い頃からインテリアコーディネーターのお母さまの影響もあって絵を描くのが好きだった塩谷さん。

それを極めるために早稲田の院まで建築を学んでいて、設計事務所に就職したって話だったのだけど、設計事務所に就職した理由が、“卒業研究の発表のときに教授にデザインの能力不足を指摘されたから、それを克服しようと思って…“って話をきいて、”あ、これあかんやつや”って思った。

そのときの感想が↓のtweet

 

ベースの能力が高かったんだろうと推測を裏付けできる話。

ベース能力高いと、苦手なことでも努力で克服できちゃうんだけどもそれはいいのか悪いのか…。

運が良ければ、心身が反応してストップかけてくるから止まれるけど、突っ走れちゃうのもキツイよな。

睡眠不足かつ栄養不足は身体を壊す最適解なんだけど、意外と社会人はやりがち…。

 

彼女の話をこの辺まできいてきた感想。

魅力的な人です。

 

 

銭湯図解のつくりかた(技術)

それから、”銭湯図解のつくる過程(技術的な話)”。

建築で用いられるアイソメトリック図法で表現している。

銭湯に取材に行くとまずメジャーでそこかしこ(タイルのサイズまで!)の寸法を計測するという話をきいて、建築系に人っぽいなぁと思った。

趣味のおけいこごとで師事している先生も建築系の人なんだけど、作品をつくるときにきっちり測れって言われるので、なんとなく共感できるところがある。

できた作品がなんかおかしいな、って思うと、だいたい1cmズレてるとかそういう感じだから、計測ってけっこう大事。

 

 

街と銭湯

後半は、銭湯図解に掲載する銭湯の話。

銭湯図解は、先頭から順番にめぐるのがおすすめらしい。

初心者からマニアまで楽しめるつくりにした、ということだった。

 

 

“泣きに行く銭湯“”おなかがすく銭湯“など、自分の状態によって行く銭湯を変える話や*2、その時々によって自分自身をオープンにしたコミュニケーションを取るときと、クローズにしてひたすらお風呂に入ることに集中するときといろんなバリエーションがあるという話は、銭湯好きのあるあるエピソードだな〜!と思った。

わかるわかる!

わたしもその日の調子によって行く銭湯を変えるもん。

それってホーム銭湯があるからできるんだよな、っていうのも新鮮な気づきだったと思う。*3

 

いろんな銭湯に行くと徐々にわかってくるんだけど、意外とそれぞれの銭湯ってその銭湯独自のローカルな明文化されないルールがあるので*4、初めて行く銭湯はだいたい入って5分くらいは周囲を観察することにしています。

5分も観察すると、だいたいどういうタイプの銭湯かわかってくるので、最近は立ち居振る舞いに困ることもなくなりました。*5

 

この辺はまあ運営側と常連さんとの非常に曖昧な暗黙のルールで成り立っているところで、そこに銭湯のいいところと悪いところが凝縮されてるなぁ、と常々思っているのだけど、わたしはこの部分こそが経営者が自由にハンドルできるところで、銭湯のカラーがめっちゃ出やすい部分だと思っています。

以前に紹介エントリーを書いたセイントセントー  3銭湯は、この辺のハンドリングがめっちゃ絶妙で、ルールが明快なので初心者にもおすすめです。*6

塩谷さんのホームの小杉湯も(まだ行ったことないけど)、安心して行ける銭湯だなぁ。

だいたいtwitterアカウント持ってる銭湯は初心者がいってもこわくない銭湯であることがほとんどなので、迷ったらTwitter検索してみると良いと思います。

 

施設が新しくて椅子の脚が高めのところはだいたい置いておく式な気がします。

大きいとしまうの大変だしね。

 

銭湯はオフィシャル(公共)とプライベート(私的な場)のちょうど間くらいのコミュニケーションがある場所、っていう話に納得。

 

銭湯の使い分け、はけっこう銭湯クラスタが自然にやってるんじゃないかな。

 

 

銭湯図解は銭湯はもちろん、その街についてもめっちゃ描いてあって、間接的に街を表現してる、っていう発言が石井さんからあって、そういう視点は実に谷根千っぽいなぁと思った。

いや、あんまりこういうこと書くとアレなんですけども、谷根千をホームグラウンドにしている人って、谷根千が好きな人が多くてちょっと特殊な街だなって思っていて。

失礼気味な表現を承知で正直に書くと、芸大とか東大とかが近いこともあって、けっこう世間一般的に見ると変わった人が多く住んでいる印象です。

また地域の人もそういうちょっと変わった人たちに対する耐性が他の街に比べてたぶん高い…。*7

だからそういう人にとってはたぶん結構住みやすいエリアだと思います。*8

 

それでもって、谷根千はめっちゃ”おしゃべり“な街です。

あんなにTwitterで発信してる人が多いとこってちょっと他ではなかなかないんじゃないかな。

そんなところも、きっと街の魅力の1つなんだと思います。

 

 

クローズ&サイン会

クロージングトークは、

”とは言え銭湯って言うほど斜陽産業じゃなくない?”

って話でした。

東京の銭湯の数が都内のマックとモスを足したくらいの数くらいあるみたいな話をきくと、まだけっこうあるな、って思うんだけど、とは言え廃業する銭湯は増える一方で*9、それに加速がつくとそこから再興するのは厳しいよねっていうあたりが業界関係者の共通の悩みなんじゃないかな、と思ったり。

そもそも設備が特殊だから廃業してしまうと、新しく設備を導入して、アレコレしてってなると結構な金額になる上に、都会の街は地価が上昇しすぎて、利用料金フィックスされてるから利益でないよね、っていう。

やっぱり2極化しちゃうのかなぁ…と思うとそれはそれで良いことのようには全く思えないんですが.....。

足元から地道に草の根運動が広がっていくと良いな、と思っています。

 

 

イベントに申し込みするときにサイン会もしてくれるんだろうな〜と思っていたのですが、ちゃんとしてくれました。

せっかくなので名前(twitterネーム)も入れてもらっちゃった。

 

 

これからの関係者のみなさまのご活躍を期待しています。

頑張りすぎなくていいから、適当に頑張ってね!

 

 

 

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参考:

トークウィーク『まちがたり』第二夜:塩谷歩波トークイベント『銭湯図解』ができるまで 実況まとめ - Togetter

 

*1:知る人ぞ知る千駄木の有名書店です。

*2:このへんの話は3/3に放送された情熱大陸にも登場した。twitterでも塩谷さんが情熱大陸に出た!って話題になってましたね。

*3:塩谷さんのホーム銭湯は高円寺の小杉湯。運が良ければ、番台で会えるかも?

*4:どこのカランは誰それさんが使うとか、サウナのその位置はなんちゃらさんの定位置だとか…!人が集まるとわりと起こりがちなやつです。

*5:適応力はけっこう高い方だと自負しています。

*6:以前に行った時に、銭湯ルールでキムチを持ってこないでくださいって書いてあってちょっと笑ったのは秘密です。

*7:あんま書くとほんと怒られそうだな...

*8:下北沢、中野、高円寺、阿佐ヶ谷、吉祥寺あたりがこのジャンルの街じゃないかと思うんだけど。

*9:浅草の蛇骨湯さんとか、小石川の歌舞伎湯さんとかも近く閉まってしまうらしいです。