今週のお題「下書き供養」
おそらく2018年頃?、はてなブログの今週のお題で「好きな街」というのをやっていた。
当時とても好きだったオウンドメディアのSUUMOの記事を読んでいたので、見よう見まねでエントリーを書き始めたのだけども、書いても書いても書き終われない。
うーん、うーん...と頭を悩ませた結果、結局期限までに書けずに放置してしまった。
それでも書き始めた下書きは削除する気になれなくて、かと言って投稿する気にもなれなくてずっと眠らせて眠らせてきていたもの。
今週のお題に「下書き供養」を見かけたので、思い切って出して放出したいと思います。
それがこの街、谷根千 の指すエリアである。
ちょっと前、この街がお散歩雑誌(HanakoやOZ)に特集が頻繁に掲載され始めた頃はたぶん2000年代前半だったと思う。*1
なぜこの街を訪れたというと、高校生の時の、とある行事でのお寺の訪問がきっかけだった。
それからしばらく、10年ほど訪れたことを忘れて、ひょんなことからこの街のことを調べ始めた。
- 住むのに便利
- 地下鉄とJRor私鉄の通るところ←地上と地下の2線あるとbetter
- つくられた街ではなくて、ほどよくガヤガヤしている街
- 女の子でも住みやすくて家賃がぎりぎり許容できるところ
- 渋谷・表参道エリア、六本木エリア、銀座エリア、築地エリアから電車で1、2本のところ(通勤と遊びと飲みと買い物の利便性)
- いろんな人が交差する街
- 飲み屋が近ければなお良い
- おいしい匂いのたちこめる街
そんなありったけのわがままを詰め込んで、1人暮らしで住みたい場所を検討し始めたのが25歳の頃。
その時地図を広げて浮かび上がってきた候補のひとつが、ここ谷根千だった。*2
当時、ららぽーと的な綺麗な街にどうしても共感を覚えられなくて、文化的な文脈がある街に将来住みたいと思っていた。
もちろん、大人になった今は整備された街の良さもとてもわかる。
結局シングルのときには計画倒れでかなわなかったが、結婚してすぐの頃に生活の拠点を選べる機会が訪れたので、拳を握りしめて、谷根千がいいと思う!とダリンを説き伏せたのが懐かしい。
あまりの私の情熱にダリンが全面的に折れて、地元の不動産屋さんに予算に合う1件のお部屋を紹介してもらった。
紆余曲折あって部屋探しは難航した上に、元々綺麗な住宅街が好きでそういうところに住みたいダリンからすると希望とはだいぶ違う選択となったのだが、現在ではすっかり満足しているようだ。
谷根千からさほど遠くなくて、ほどよく便利。
街を見ていて飽きることがない。
少し離れたところから眺めたり歩いたりする谷根千は、とても不思議な心地よさを持った街だと思う。
ときどきお買い物にでかける谷中銀座ではいつも人で溢れていて(天気のいい日は特に!!)、外国人や日本人の観光客と地元のお客さんが入り混じる、ちょっとしたエンタメパークである。
それなのにちゃんと普段のお買い物の商店街としても機能している。
野菜がリーズナブルでフレッシュハーブの種類が豊富なスーパーのなかには時々思い立ってお買い物に行く。
お惣菜やお弁当を売っているトーホーは日々の生活で重宝しているありがたいお店だ。
また長いこと探していた花鋏の手入れをしてくれる刃研ぎ屋さんである研ぎ陣も重宝しているお店のひとつ。
お茶や和陶器を売っている金吉園や、もやしそばとチャーハンの有名な街中華の一寸亭、夕焼けだんだんをのぼったところにある籠やざるなどの丁寧に作られた使いやすい道具類を売っている谷中松野屋などは生活に馴染みのあるものが多くあって商店街に行くとよく覗くお店だ。
だんだんの階段をのぼった日暮里駅までの道のりでは、国際線で到着する日本の入口の成田空港から京成スカイライナー1本で来られる利便性故か、たまに道に迷っている観光客に声かけられるので拙い英語とiPhoneを駆使して道案内したりするのもだいぶ慣れた。*3
隣街の日暮里の駅を抜けてちょっと行くと、炭酸泉で人気のリニューアル銭湯、斎藤湯がある。
土日は様々なお客さんで賑わっていてヨガや落語や独演会など多様なイベントも開催されている。*4
炭酸泉、露天のシルキーバス、熱湯、水風呂とあって銭湯好きな私には、よだれものお風呂。
また動坂*5をのぼった先には、今井健太郎建築のリニューアル銭湯のふくの湯がある。
こちらはこじんまりとしたシックなお風呂屋さんで、浴室は週替わり(月曜日)の入れ替え制。
2人の銭湯絵師、中島氏と丸山氏がそれぞれ描いた富士山のペンキ絵やGravityfreeの描く弁財天や大黒様が見られる豪華なく空間なのである。
ちなみにお風呂は江戸っ子らしく熱めの温度。
弁財天の湯は薬湯で、大黒天の湯は人工のラジウム温泉になっている。
それから谷根千のちょうど真ん中あたり、団子坂の反対側の三崎坂(さんざきざか、と読む)のふもとに、昔ながらの銭湯である朝日湯がある。
ここも地域のお風呂屋さんという感じで、温度高めの熱い薬湯がにぎわっており、サウナもある。*6
上野~谷根千周辺のお散歩コースのちょうどよい位置にあるので、街歩きに来ているお客さんもがふらっと寄ったりしていることもあるようだ。
そのほかに、庭園とお屋敷が良い状態に保存されていてあれこれ見て回るのが楽しい旧安田楠雄邸庭園やファーブル昆虫館「虫の詩人の館」、森鴎外記念館、建物も展示が楽しくて少女漫画好きはぜったい好きだと思う弥生美術館・竹久夢二美術館、赤い鳥居の通り道が有名な根津神社など、街としても見どころ満載。
時々、あ、そういえばあの展示見に行きたいと思ってたんだった…!と思いたった時にふらっと行けるのも良い。
(根津神社)
(弥生美術館・竹久夢二美術館)
(弥生美術館・竹久夢二美術館)
(旧安田楠雄邸)
また食べ歩きや創作和食、イタリアン、お蕎麦屋さん、お寿司屋さんとグルメなお店がたくさんあるのだけど、このあたりはラーメン屋さんも激戦区。
つけめんTETSU、神名備、ひだまり、義、いっとく、蛸八、毛家麺店、末廣、喜粋、岡村家…etc
不忍通りの周辺にはいろんな種類のラーメン専門店がたくさんある上に、町中華が入り乱れていて麺類を食べたい時の選択肢には事欠かない。
最近は季節ものの限定メニューもあちこちのお店でよく出ているので、とても全部の種類は制覇できそうにない。
ただふらふらと歩いても、歩くたびに新しい発見がある。
(麺やひだまり)
(つけめんTETSU)
引っ越してきたばかりの頃はメンタル不全が多少回復してきた時期で、1日外出して人と会ったら2、3日寝込むみたいな日々だった。
いつも鬱々としていたので、平日の昼間にふらふら出歩いていても街から浮かず、街の人たちは付かず離れずみたいな感じで冷たくないけど特別優しいわけでもないちょうどよい空気感がその時の自分にはとてもありがたかった。
時間をかけながらも回復できたのは、ラフな街の空気によく触れていたことも幸いしたのではないかな、と思う。
少しずつ風景が変わったりお店が変わっていく人気の街で、今も雑誌で取り上げられたりTVの録りをだんだん周りでやっていたりするのを見かけることもある。
局から遠くなくて取材がしやすかったり、絵として使いやすいみたいなのもあるのかもしれない。
このエリアの雰囲気は決して一朝一夕に作られたものではなくて、バブル時代に建物を壊して新しいビルやマンションををガンガン建てていたときに、街の景観を残そうという有志の方々のボイスがあり、建物などを残していく街の人たちの不断の努力があって今の街並みになっている、ということはもっと知られて良いのではないかという気もする。
昔ながらの気質と雰囲気を守りつつも、新しい人もどんどん入ってきて変化を続けていく街。
そんな気概を持った街だからきっと多くの人を惹きつけるのだろう。
そういうところが、とても好きだなと思う。
(本は当たりました!)
*1:いろいろな媒体の過去の記述を読むと、どうも80sのバブル期あたりから観光地化していたみたいだが、私の耳に入ってきたのは多分そのくらいの時期だった。
*2:ちなみに他は月島、代々木上原、中目黒・恵比寿・代官山、三軒茶屋である。どこもなかなか家賃の高い地域...。若いってそういうことだよね。
*3:バルセロナやパリで街の人たちにとても親切にしてもらったので、持ちつ持たれつだと思うことにして観光客にはなるべく親切にしようと思うようになった。新婚旅行の収穫かなあと思う。
*4:最近はコロナでなかなかイベントごとは難しそうではあるが、常連のマダム達は相変わらずみなさんいらしていてちょっとほっとする。
*5:このあたりの坂は名前がついた坂が多くて、みんな上り下りは恨めしいながらも坂に愛着を持ってるように思う。坂が多いからか健脚のマダムが多い気がする。
*6:水風呂はないのであるが…。