コロナが騒がれ出したのは記憶が正しければ3月くらいだった。
それまではクルーズ船のダイヤモンドプリンセスが多少インターネットで話題にはなっていたものの、その頃はまだ封じ込めが可能なのではないか、と思っていたし、インフルエンザと似たようなウイルスなのではないかという楽観的な意見が主流だったように思う。
そうこうしているうちに、突然の緊急事態宣言。
宣言の期間自体は一旦終わったのは終わったけれど、その傷跡がまだあちこちに生々しく存在していて(というか現在進行形で悪化してる部分も多々ある)、なおかつ終息に向かうかどうかすらわからない現状は厳しい。
夏の間は、正直言うと
夏だー!とりあえず熱い〜&楽しいことしよ〜!
といった感じで、バカンス気分まではいかないけども緊張感は意図的に緩めていた気がする。
そして秋。
いよいよもってウイルスが猛威を奮っている現実を直視して、その上でどう生きていくのか、が問われているように思えてならない。
一度狂ってしまった流れは、おそらく元には戻らないのだろう。
ずれてしまった土台を元に戻すのではなく、どうにかこうにか基礎をならし、現実を積み上げていくしか解決方法はないのだろうなぁ、と思うとなかなか暗い気持ちになる。
いっそオリンピック開催までいけいけどんどんでよくわからない景気の良さと浮かれた空気を楽しんだ後だったらやってくる不景気も耐えられたかもしれないけど、膨らむ前に風船が萎んでしまったからあちこちどうにもならないのではないか…。
正直気持ちがついていかないし、どうしたって暗さはある。
建て直す力は自分の周辺や地域、ひいては国(という大きな概念)にまだ残ってるのかしら?
コロナがなかったら。
今年の2月や3月に時計の針を巻き戻す。
今年、2020年は自分の中でもうひとふんばりチャレンジしよう、という年として密かに位置付けていた。
鬱になって回復して、ようやく多少普通の生活を送れるようになるまで。
いろんなことがあった。
病気になった時、記録しておいたら後々読み返したらまあいいんじゃないかな、と思い書き始めたら結構経った。
その間にアフィリエイトやブロガーのブームがやってきては消えて、それでもまだ日記のようなブログを書いている。
なかなか、我ながらしぶとい性格をしている…。
鬱になってから回復するまでの6年。
思い返してもキツい。
寛解してから(病院に通わなくなってから)、本当に身体が動くようになるまでが特にきつい記憶しかない。
まず安定して働けないことで自分の自尊心がごりごり削られる。
子育てしたり働いたりしている同世代の友人たちと会うのも、会ってるときはそれなりに楽しいけども、子供のいないふわふわとした何者でもないなんちゃって専業主婦に世の中の視線は厳しい。
要らん詮索も受けるし、親切なお説教も度々受けた。夫婦の問題だから、って事で開き直ってたけど。
安定しない睡眠とメンタルをどうにか手懐け、ようやく定常的に比較的安定した生活を送れるようになった。
微々たるものではあるが、何もしないよりはマシな職歴(と呼べるのかわからないけど)もまあついた。
それで、春先には新しい仕事を探そうと思っていた矢先のコロナだった。
うん。
相変わらずもってないな、と苦笑しつつ、取り敢えず現状維持として契約期間を引き伸ばした。
これは今思えばやっぱりあまりよくなかったと思う。
ただ良い事?がひとつあった。
コロナがきて、半強制的に外出が制限されたおかげで、サウナに行かない期間があっても意外と大丈夫だし、飲み屋に行かなくても死にはしないし、飲み会に行かなくても、家族や親しい友人たちと直接会えなくてもさして問題はない*2、ということを知ったことだ。
ここらで長らく見ないフリをしてきた自分の身体をメンテナンスしようと思い、思い切って親知らずを抜くことにした。
右上の1本はむし歯になって渋々抜いたのだが、その他はひとまず問題がなかったので長らく放置していた。
2本の下の親知らずは埋伏なのでどうしたって大掛かりになる。
ダウンタイムが必要なのと、抜歯の体験談が怖すぎて絶対耐えられない…!と思い見て見ぬ振りを続けていた。
でも若いうちの方が回復力があるというのも知っていていつかはやらなくては、と思ってもいた。
うっかり長生きしてしまったら歯は重要だし。
抜歯の画像とか検索かけると見られるんだけど、あんなことが自分の口内で行われているかと思うと本当に恐ろしい。
そうは言いつつもここ1年くらい右下の親知らずの挙動が怪しくて、どうにかしなくてはなぁ…と思ってはいて、ようやく重い腰をあげた。
上の歯を抜いてもらった歯医者さんに相談すると、ここでも抜けないことはないけど場所が場所だからということで、いくつかの病院の選択肢として紹介してくれた。
一旦持ち帰りにして、さらっとネットで口コミを検索して、なんとなく良さそう…という理由である大きい病院に紹介状を書いてもらう。
コロナ禍で病院も受け入れ制限があって、普段よりも人が少なめになっているため、抜くための予約を取るのにの時間がかかった。
実際抜くまではめちゃくちゃ怖くて(痛いって聞いてたから)、まじで、ほんと怖いんです…!!!!と抜歯の先生には言っていたけど、思っていたよりも大変ではなかった。
これからどんな音がして何をするかを説明しながら抜かれたので、音に対する恐怖心もなかった。
ダウンタイムはなかなか痛かったし鎮痛剤は手放せなかったけど、思ったよりも腫れずに済んだのもよかった。
はじめは痛すぎて怖いから取り敢えず1本抜いたら時間をあけようと思っていたのだけど、意外と大丈夫そうだったので2本目も抜いてもらおうとしている。
コロナがなければ日常の面白さや楽しさが勝って、親知らずの抜歯をしようとは考えなかったと思う。
そんな時間すらなかなかない、と思っていたし。
コロナ禍になったことが良かったとは全く思えないけど、1つや2つくらいは良かったことがあるのかもしれない。